2015-01-01から1年間の記事一覧

中国一の裏切り男(七)

北伐を完成させてから三ヶ月後の双十節、蒋中正は国民政府主席に就任した。国民革命軍総司令が采配する革命戦争の時代は終わりを遂げた。 孫中山は民主共和国建設に当たり、その辿るべき段階を三つに分けた。革命軍が国家を指導する軍政、国民党が中国人民を…

中国一の裏切り男(六)

年が明けて民国十七年一月、蒋中正は南京にて国民革命軍総司令への復職を宣言した。自ら望んでの復職ではなく、わざわざ外遊先の日本から呼び戻されての復職であるから、万事蒋中正の好きなように事を運べなければ嘘である。 これまで散々蒋中正と揉めてきた…

「日雑」とは

中国のネットを見ていると、猛烈な日本フアンをよく見る。所謂「哈日族」という語彙を目にしたことのある方もおられるとは思うが、その「フアン」の程度は日本のコンテンツを消費するのに止まらず、甚だしきは「日本人になりたい」或いは「日本人に生まれる…

中国一の裏切り男(五)

武漢の汪兆銘が反共姿勢をとったことで、南京の蒋中正との対立理由は消滅した。これで国民党は一致団結、一気に北伐して中国を統一したのかと言えば、話はそう滑らかに進まない。 南京も揉めた。 蒋中正総司令率いる国民革命軍主力は、南北中国が交わる中心…

中国一の裏切り男(四)

共産党が主導権を握る武漢国民政府を脱出した周仏海先生だが、やっとの思いで上海までたどり着くと、どういうわけか、蒋中正将軍の指導する南京国民政府の警官隊に逮捕された。 そんなわけで牢獄にぶち込まれたが、先生は中国共産党の元祖闘士とはいえ、これ…

中国一の裏切り男(三)

北伐戦争は順調に推移したが、こうなると面白くないのは共産党と国民党左派である。兵力で以て強引に主導権を獲得した蒋中正将軍は、北伐軍の輝ける総司令として民衆のヒーローになろうとしている。 コミンテルンのボロージンは、国民党各党部の左派に声をか…

中国一の裏切り男(二)

さて、広州で国民党中央宣伝部秘書の位についた周仏海であるが、中国共産党留日代表のようにはいかず、こちらはしっかりと実務がある。早速、香港で発行する機関紙の総主筆を任された。大役であり周仏海先生もさぞ喜んだと思うが、いきなり新聞の編集長をや…

中国一の裏切り男(一)

昨年来、周仏海という人物について調べている。 特別何かえらい事をやった男でもないが、軽薄無双、中国一の裏切り男である。 清末に湖南省は阮江という、古くは「南蛮」と呼ばれた少数民族地帯にほど近いクソ田舎に生まれ、地方役人の父をもった関係か母親…

国家の擬人化について ある中国人の「日本萌え」と日本人の「台湾萌

今更ではあるが、「擬人化」という試みがある。昨年あたりから「鑑これ」なる軍艦を女の子としてキャラクター化するゲームが流行しており、「潜水艦伊―57のおしっこが飲みたい」という過激分子も出ているが、軍艦に限らずモノ一般を女性、或いは男性でもい…

人探し

人探しがしたい。果たして本人がまだ存命かも知れぬ上に、本人が名乗り出るのは難しそうではあるが、会って欲しい人がいる。 事情を話せば長くなる。私は昨年来、中国のインターネット掲示板にて「日本人だけど質問ある?」スレを立て、中国人民による日本に…

大阪都構想は兵庫県消滅を招く

2017年、長年懸案とされて来た大阪府市の対立に端を発した大阪都構想のゴールによって「一つの大阪」が達成され、東京都制施行このかた東京の格下と位置づけられていた屈辱を晴らした快挙により、浪花の街は沸き返っていた。 淀屋橋の大阪市役所では早速市民…